法人化するメリット9つまとめ!

個人事業主の商売が順調に拡大していくと、「法人化」を考え始めることが多いと思います。

法人化とは、今まで個人で仕事をうけ、こなし、報酬を得てきたことを、会社という個人とは別の組織で行うことです。「法人成り」とも呼ばれています。

とはいっても、法人化すると具体的にはどのような点が変わるのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、個人事業主が法人化するメリットをまとめました!

 

法人化するメリットまとめ

個人事業主が法人化することには、信用力の向上や有限責任になること以外にも、一定の事業規模以上で所得税や消費税といった税金を節約できるメリットがあります。以下で具体的に9つのメリットを紹介します。

 

1.信用力が上がる

一般的に、個人よりも法人のほうが、信用度が高くなっています。取引先を法人に限定している企業もあるため、法人化することで取引先を確保しやすくなり、取引先の幅が広がることが考えられます。

また、金融機関からの借入を行う際にも個人では事業目的の融資は受けにくく、借入できても保証人を求められるケースが多くなっています。法人化することで信用力が上がり、金融機関からの融資など、資金調達がしやすいこともメリットに挙げられます。 また、採用面でも法人化した方が、人が集まりやすくなります。

 

2.有限責任にできる

有限責任とは、会社のもつ債務はその財産の範囲までしか責任を負わないということです。有限責任の反対は無限責任で、会社の財産が足りない場合は自分の財産まで使ってその弁済にあてることを迫られることです。

個人事業では、経営が悪化した際に仕入先への未払金や金融機関などからの借入金、滞納している税金などは個人の負債として背負うことになります。一方、法人化して株式会社や合同会社にした場合には、個人保証による借入を除くと、出資金の範囲内での責任になります。

 

3.一定の所得以上で税金を節約できる

法人税の税率は所得※が増えてもほぼ一定です。一方、所得税は、累進課税といって所得が増えるほど上がっていきます。そのため、年間の所得が400~500万円を超えたあたりから、法人化した方が節税になるケースが出てきます。(幅があるのは個人の状況や社保関連によるためです)
 

※※※

「所得」という専門用語が初めての方は、以下を参考にしてください。

個人事業主の税金は所得税という税法に従って、次のように計算されます。

STEP1 収益(売上)- 費用 = 所得

STEP2 所得 - 各種控除 = 課税所得

STEP3 課税所得 × 税率 = 所得税

1年で入ってきたお金そのものや売上ではなく、収益から費用を引いた、「所得(しょとく)」と呼ばれる額に対して税金がかかると覚えておいてください。

POINT:収益から費用を引いた「所得」に税金がかかる

実際には、所得税はもう少しやさしくできており、配偶者がいれば配偶者控除、子供がいれば扶養控除、など、所得からさらに差し引く金額があり(STEP2の各種控除)、所得から各種控除を引いた課税所得に対して税率をかけて税金を計算します。

4.役員報酬で費用を実質2回引ける!

個人にかかる所得税法上は、事業主自身の給与は費用になりません。事業と事業主は一心同体であり、その事業から生じた所得はすべて事業主のものと考えます。

個人事業主の場合:(収益-費用)×所得税率=税金

これに対して、法人化した場合は、事業主は通常法人から役員報酬を受け取ることとなりその役員報酬は費用として認められます。法人税は役員報酬分だけ所得が少なくなります。

法人化した場合:(収益-費用-役員報酬)×法人税率=税金

また法人から支給される役員報酬はその役員の「給与所得」として所得税が課されますが、額面そのままに税率がかかるのではなく、「給与所得控除」と呼ばれる「サラリーマンの経費見合い」と言われる金額を引いた額に対して税率がかかります。

役員報酬(給与所得):(役員報酬-給与所得控除)×所得税率=税金

従って、法人化して役員報酬を支給すると、トータルで考えたときに、この「給与所得控除」の金額だけ所得を圧縮できます。また法人化では法人税と役員報酬にかかる所得税とに分けることで、所得税の税率を低く抑えることができます

具体的には、個人事業主が1人で800万円の所得を得た場合、その所得税は約110万円になります。これに対し1人に給与を800万円出した場合には約77万円になります。(※簡略化して試算しています)

個人事業主の場合:
800万円×所得税率33%-控除153.6万円=110.4万円
 
給与800万円の場合:
(800万円-給与所得控除200万円)×所得税率20%-控除42.75万円=77.25万円
 
役員報酬の節税についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

5.所得を家族などに分散することで節税できる!

前にも書いたとおり、個人にかかる所得税は利益が多くなると税率が高くなる累進課税制度です。このため同じ儲けでも、1人で儲けるよりも、何人かに分散したほうが、それぞれの税率が低くなる分、税金の合計金額は少なくなります。

例えば先ほどの例で1人に給与を800万円出した場合には所得税は約77万円でした。これに対して100万円と700万円にわけた場合、2人分の税金は約44万円となり、その差額は33万円になります。

給与800万円の場合:
(800万円-給与所得控除200万円)×所得税率20%-控除42.75万円=77.25万円
 
2人に合計800万円の場合:
(600万円-給与所得控除180万円)×所得税率20%-控除42.75万円=41.25万円

(200万円-給与所得控除78万円)×所得税率10%-控除9.75万円=2.45万円

個人事業でも青色事業専従者という制度により家族に給与を支払うことは出来ます。しかし、年齢や働き方に条件があり、これを事前に税務署に届けておかなければならないなど、多くの制約があります。これに対し、法人であれば、程度の問題はありますが、個人事業主のような税務上の制約を受けることなく給与を支払うことが可能です。

 

6.消費税が2年免税される!

個人事業者が法人化した場合、資本金1,000万円未満の会社設立をすると、最大で約2年間、消費税の免税事業者となり、2年間にわたって、消費税を国に納める必要がなくなります。

2年前の売上高が1,000万円を超えている、又は前年上半期の売上高または給与の合計が1,000万円を超えていると消費税の納税義務者となり、消費税を納める必要があります。役員報酬の設定の仕方に注意が必要です。

 

7.役員社宅

個人事業の場合、自分が住んでいる住居を事業に全く使用していないと、家費は税金の計算上1円も費用になりません。しかし法人の場合、契約名義を法人名義にすることで、家賃の50%~80%を法人の費用にすることができます。

賃貸住宅であれば、法人が直接大家と契約し、この賃貸住宅を社宅として社長に貸付けます。社長は家賃の半分(最低でも約20%)を法人に支払えば税務上の問題はなく、その差額(家賃の50%~80%)は法人の費用として処理することが可能になります。

例えば、家賃が15万円だとすると、年間で15万円×50%×12ヶ月=90万円もが法人の費用となり、これに税率をかけた金額分が節税できるということです。

 

8.欠損金の繰越控除

ある事業年度で赤字になった場合、その赤字額を翌年度以降の費用として処理することが出来ます。例えば、70万円の赤字になった年の翌年に100万円の利益を計上したとすると、100万円から70万円を控除した30万円をその年の利益として税金を計算します。

この欠損金の繰越控除という制度は、個人事業にもありますが、個人事業の場合は、3年間しか繰越すことができません。これに対し、一般的な中小法人は9年間繰越すことが可能です。

多額の赤字が発生した場合、個人事業だと、繰越せる期間が3年間に制限されているため、その後の3年間で同額以上の利益を計上しないと、その全てを控除することはできません。しかし、法人であれば9年間も繰越すことができるので、その危険はかなり少なくなります。

 

9.決算期が自由に決められる

個人事業者の場合、税金の計算期間は1月1日から12月31日と定められていて、これを変更することは出来ません。これに対して、法人は、所定の手続をすると自由に税金の計算期間(事業年度)を変更することが出来ます。