徹底解説!合同会社の設立の流れ5ステップ

この記事では、合同会社設立の流れを徹底解説します!
合同会社の設立の流れは、下記の5つのステップです。株式会社と比べると、考えるべき項目や用意する書類の数も少なく、簡単になっています。
手続きにかかる日数は早い人で1日、おおむね4~5日間、加えて設立の申請が法務局で処理される時間に1週間程度かかります。登記所に設立の登記をした日が会社設立日になりますので、そこから逆算して準備をお願いしますね。
STEP 1:基本事項(会社名や目的、所在地、社員など)の決定
STEP 2:定款の作成
STEP 3:登記書類作成
STEP 4:法務局にて設立登記 ⇒1週間ほどで登記完了
STEP 5:各種届出の提出
株式会社と合同会社の違いについてはこちらの記事でまとめています。
目次
STEP0.合同会社設立にかかる費用
はじめに、合同会社の設立には最低限以下の費用が必要です。
定款の謄本手数料:約2,000円(250円/1ページ)
登録免許税: 最低6万円(または資本金の額×0.7%)
会社実印作成:1万円程
合計:6万円~
電子定款ではない場合、別途印紙4万円が必要になります。
会社実印についてはこちらの記事でまとめています
STEP1.設立項目の決定
合同会社の設立手続きを始める前に、設立項目を決めておく必要があります。
設立項目とは「会社の名前は誰にするか」「会社の場所はどこにするか」など基本的なことです。具体的には下記の項目を決めます。
設立事項 | 内容 |
商号(会社名) | 合同会社〇〇または〇〇合同会社 ⇒会社名の決め方はこちら |
事業目的 | 会社でどのような収益事業を行うか ⇒事業目的のポイントはこちら |
本店所在地 | 会社の住所。定款作成や登記申請の際に記入が必要 ⇒本店所在地の決め方はこちら |
資本金の額 | 1円~設立可能。資本金は、創業融資を受ける際にも重要ですし、取引先も必ず確認する項目です。半年程度の運転資金を用意するのが一般的です。 ⇒資本金の決め方はこちら |
社員構成の決定 | 誰が代表権を持つのか、誰が業務執行権を持つのか |
事業年度(決算期) | 事業年度は事業の繁忙期を避け、節税や創業後の消費税の免税機関の特例など様々な側面から合理的に決めます。 ⇒事業年度の決め方はこちら |
また、この段階で、会社印鑑の作成と印鑑証明書の取得をしておくと良いでしょう。
やること | 内容 |
会社印鑑の作成 | 合同会社の設立書類に押す印鑑や、設立後に業務で使う印鑑など合計4種類の印鑑を最初に揃えておきましょう。 |
印鑑証明書の取得 | 印鑑届書に添付するため、代表社員として印鑑を届出る方の印鑑証明が必要になります。代表社員が複数いる場合は印鑑届出をそれぞれ作成し、それぞれの印鑑証明書を添付して届出ることも可能ですが、設立時は1名のみ届出れば設立可能です。 |
STEP2.定款の作成
設立項目を決めて、手続きに必要な印鑑などを用意したら次に行うのが定款の作成です。定款とは会社のルールをまとめたものです。合同会社では、株式会社のように「定款の認証」というステップがないため、手順は手軽なものになっています。
以下のひな形を参考に作成してください。
会社運営開始後の社員間でのトラブルを避けるために、新しい社員が入社したり退社したりする時の取り決めを書いたり、社員の間での利益の分配に関する取り決めなども書いておきます。
株式会社と同様に、合同会社でも定款を紙ではなくPDFの電子定款にすると、登記申請の際に定款に貼る収入印紙代4万円が不要になります。しかし、実際に電子定款を作るには、専用の電子機器やソフトウェアを揃え自分で作成するのは効率的ではないため、専門業者に代行してもらう方が一般的です。
STEP3.登記書類の作成
定款を作成したら、次は登記書類の作成です。
STEP.2で作成した定款の他に、以下の5つの書類を作成します。
1.設立登記申請書(申請書+登記すべき事項を記した別紙+登録免許税貼付台紙)
2.代表社員,本店所在地及び資本金を決定したことを証する書面
3.代表社員の就任承諾書
4.払込みがあったことを証する書面(通帳コピーを添付)
5.印鑑届出書(印鑑証明書を添付)
設立の際に現物出資がある場合、別途2つの書類の作成が必要となります。一般的ではないため、ここでは詳細説明を省略します。
6.財産引継書
7.資本金の額の計上に関する証明書
1.~5.については以下のひな形を参考に作成します。
4.払込みがあったことを証する書面
書面(①)には印鑑届出書と同一の会社代表者印を押します。預金通帳の表紙(②)、表紙の裏面(③)、払込みに関する記載があるページをA4サイズでコピーします。
払込みについて記載がある行にマーカー等を引きます。重ねてホチキス止めしページの継ぎ目に実印で割印します。
6.印鑑届出書
法務局にて用紙をもらえます。以下のPDFを使って作成することもできます。
代表者事項証明書と印鑑届書に押印した印鑑につき登記所の作成した印鑑証明書で、いずれも登記所作成後3か月以内のものを添付する必要があります。代表者と職務執行者が同一ではない場合は代表者の保証書が必要になります。
STEP4.法務局で設立登記
必要な書類を用意したら、法務局で登記を行います。管轄の登記所(法務局もしくは地方法務局もしくはこれらの支局または出張所)で書類の申請をした日が会社の設立日となります。
【登記所に持っていくものリスト】
1. 設立登記申請書(申請書+登記すべき事項を記した別紙+登録免許税貼付台紙)
2. 定款
3. 代表社員,本店所在地及び資本金を決定したことを証する書面
4. 代表社員の就任承諾書
5. 払込みがあったことを証する書面(通帳コピーを添付)
6. 資本金の額の計上に関する代表社員の証明書
7. 印鑑届出書(印鑑証明書を添付)
受付時間は休日と年末年始の休日を除く月曜日から金曜日までの午前8時30分~午後5時15分です。土日祝日は受付をしないため、その日を会社設立日にすることはできません。
郵送での提出も可能ですが、その場合申請書が登記所に届き、受付手続きをした日が会社設立日になります。希望の日を設立日としたい場合は、実際に出向いて手続きすると良いでしょう。
書類に重大な誤りがあり却下される場合を除き、登記申請日が会社設立日となります。実際にはそこから登記所内での事務手続がありますので、登記申請時に登記完了予定日を確認しましょう。通常、申請窓口に予定日が示されています。
STEP5.各種届出の提出
合同会社の設立自体は、法務局で申請書を提出して完了ですが、実際に会社の運営を始めるにあたって、税務や社会保険、労務関係のために各種届出の提出が必要になります。設立後の税務業務をお願いする税理士を探しつつ、相談すると良いでしょう。(弊社の顧問先では、内容をお伺いした上で届出の提出を無料で代行しています。)
5-1.税務上必要な届出
税務署や都道府県等に対して、一般的には以下の届出を行います。
届出の名前 | 内容 |
法人設立届出書 | 設立した会社の概要を税務署や都道府県や市町村に知らせるための書類。すべての会社で必須。設立届については、税務署だけでなく、都道府県税事務所及び市町村役場にも提出が必要になります。 |
青色申告の承認申請書 | 青色申告をするために提出しておくべき書類。税務上の特典を受けるためには提出が必要になります。 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 役員賞与や従業員の給料を支払う場合に必要になる書類。 |
源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書 | 源泉徴収を毎月ではなく年2回の納付にして創業後の負担を軽くするために提出する書類。 |
会社の業務内容によっては以下の届出の提出も必要になります。
届出の名前 | 内容 |
棚卸資産の評価方法の届出書 | 会社の在庫商品の計算方法を届出る書類 |
減価償却資産の償却方法の届出書 | 減価償却の方法を届出る書類 |
消費税に関する届出書 | 資本金1000万円以上の場合など、1期目から消費税が課される場合に必要になる書類 |
届出を提出する所轄の税務署はこちら(国税庁HP)で調べられます。
税務署への届出用紙には「法人番号」を記載する欄があります。設立登記完了から1週間程度で会社の本店所在地に法人番号指定通知書が送付されてきます。
設立後に取得した登記事項証明書の上部に12桁の会社法人番号の記載があります。この12桁の前に1桁の検査用数字(チェックデジット)を加えた13桁の番号が法人番号です。チェックデジットの計算方法はこちらで確認できます。
5-2.社会保険の届出
社会保険(健康保険・厚生年金)や労働保険(労災保険・雇用保険)に関する書類は、その内容によって提出先や期限が異なるので注意が必要です。提出書類はすべて管轄の官公署などで無料で入手できます。
常時従業員を使用する事務所は厚生年金及び健康保険の加入が法律で義務付けられています。事務所所在地を管轄する年金事務所に以下の書類を提出する必要があります。管轄する年金事務所はこちら(日本年金機構)で確認できます。
提出する書類 | 提出期限 |
健康保険・厚生年金保険新規適用届 | 事実発生から5日以内 |
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 | 事実発生から5日以内 |
健康保険被扶養者(異動)届 | 事実発生から5日以内 |
5-3.労働保険の届出
従業員を1人でも雇用した場合、労働保険に必ず加入しなくてはいけません。労働保険とは労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険とを総称した言葉です。所轄の労働基準監督署はこちら(厚生労働省)、公共職業安定書はこちら(厚生労働省)で確認できます。
提出先 | 提出する書類 | 提出期限 |
所轄の労働基準監督署 | 保険関係成立届 | 保険関係成立から10日以内 |
概算保険料申告書 | 保険関係成立から50日以内 | |
所轄の公共職業安定所 | 雇用保険 適用事業所設置届 | 設置の日から10日以内 |
雇用保険 被保険者資格取得届 | 資格取得の事実があった日の翌月10日まで |
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は合同会社の設立手順について5ステップで解説しました。作業を進めていく中での懸念点の解消や設立後の申告業務について、税理士へのお問い合わせはこちらから受け付けております。