決算月(事業年度)の決め方!知っておきたい10個のポイント

会社の設立を考えるときには、会社の決算月(事業年度)を決める必要があります。法人の場合、自由に決算月(事業年度)を決めることができます。

1期目の事業年度とは、「法人設立の日~最初の決算日」のことで、必ずしも1年間(365日間)とは限りません。

どのように決めるかによって、負担する税金の金額に違いが出ることもありますし、決算のために必要な業務の負担が違って来る可能性があります。そのため、事業の状況に応じて決める必要があります。

そこで今回は決算月(事業年度)の決め方について、知っておきたいポイントをまとめました!

1.会社設立月の前月末にするのが基本

決算月を会社設立月の前月にすれば、消費税の免税期間を長く取ることができるためです。(事業年度は1年間を超えては設定できません)

資本金が1,000万円未満の新設法人の場合、1期目と2期目は原則消費税が免税になります。

法人設立の日とは法務局に対して設立登記申請書を提出した日です。もし3月20日設立の会社の決算日を3月31日とすると1期目の事業年度はたったの12日間(3月20日~3月31日)です。この場合、本来は最大24ヶ月間、消費税の免税期間があるところ、1期目の12日間と、2期目の12ヶ月間の間しか消費税が免税になりません。

よって、会社設立月の前月末を決算日とすると、免税期間を長く取ることができ節税になります。

2.1期目の売上が1,000万円未満になるように

3期目以降は「2事業年度前の売上高が1,000万円を超えるか?」で消費税の課税、免税を判断します。3期目の消費税の課税、免税は、1期目の売上高の12ヶ月相当分が1,000万円を超えるかどうかで判断します。

3期目以降は2期前の売上高が1,000万円を超えたら課税、以下なら免税
例)3期目⇒1期目の売上高が1,000万円以下なら免税

月によって売上高に大幅な違いがある場合、1期目の事業年度の売上高の12ヶ月相当分が1,000万円未満になるように決算月を定めるのもメリットがあります。

たとえば「12月は大幅な売上増加が見込める」というような場合には、1期目の事業年度に12月が含まれるのを避けておくと、1期目の売上高が1,000万円を超えず、3期目も免税となれる可能性があります。

3.最初の半年で売上が1,000万円超になる場合

設立してから最初の2事業年度は消費税の免税事業者となることができるのが原則です。ただし、1期目の最初の半年(特定期間)の売上高と給与合計がどちらも1,000万円超の金額になると、2期目から消費税を納める義務が発生します。

原則:1期目と2期目は消費税免税
特例:1期目の最初の6ヶ月の売上高と給与合計がどちらも1,000万円超だと2期目は課税

1期目の最初の6ヶ月間については売上が1,000万円超になるのを避けるのが良いということになります。もし決算月を1,2ヶ月ずらすことで「半年間で1,000万円」の基準に満たない状態を作り出せるのであれば、そのように決算月を定めることで2期目に消費税の課税事業者とされてしまうことを回避することができます。

また、初年度の期間を7ヶ月以下にすると、この特定期間の判定を避けることができ、自動的に2期目の消費税は免税になります。設立日の7ヶ月後を決算月とするのも一手です。

4.資金繰りが悪い月は避ける

法人設立後は、事業から発生する利益の金額に応じて法人税を負担しなくてはなりません。

法人税の申告と納付は「決算日の2ヶ月後」までに行う必要があります。例えば12月末が決算日である場合には、2月末までに法人税の申告をして納付をしなくてはなりません。

決算月の2ヶ月後に納める法人税は特別な場合を除き分割払いはできません。もし納税月と資金繰りが厳しくなる月とが重なってしまうと、納税を遅延することによる延滞税が課されたり、最悪の場合資金ショートを起こしてしまったりする可能性があります。

決算日の2ヶ月後は法人税等の納付(一括払)がある

売上が季節変動で上下することが予想される場合や、従業員へのボーナス支払月など、資金繰りが悪化する月があらかじめわかっている場合には、その月と納税月(決算月の2ヶ月後)が重なるのを避けると良いでしょう。

例えば、7月には従業員に対して夏のボーナスを支給しなくてはならない場合、5月決算を避けます。7月にボーナスの他法人税の支払いが出て資金繰りが大幅に悪化してしまうためです。

「決算日から2ヶ月後」が何月にあたるのかをチェックし、その月の資金繰りが悪くないかを確認しておくようにしましょう(もし当たる場合は決算月を考え直しましょう)。

5.役員報酬は期首から3ヶ月以内に決める

役員報酬の金額は年に一度、期首から3ヶ月以内のタイミングでしか改定することができません(残りの9ヶ月間はずっと同じ金額でないと行けません)これは役員報酬を恣意的に上下することによって法人税や所得税の脱税行為が行われるのを防ぐためのルールです。

毎年の売上の季節変動が読みやすい仕事をされている方であれば、できる限り業績の予測がしやすいタイミングにこの「期首から3ヶ月」の時期が重なるようにすると良いでしょう。

期首から3ヶ月でかなり売上が上がっているようなら役員報酬を多めにとることで会社の利益を圧縮できますし、もし3ヶ月の時点で業績が思わしくないのであれば、役員報酬を減額することで会社の資金繰りを確保することが考えられます。

6.売上の大きい月を期首にする

定期的に売上があがる時期が毎年決まっているという事業者の方の場合、できるだけ事業年度の前半にそれらの月がまわってくるように決算月を決めることをおすすめしています。事業の見通しをしやすいようにすることで、節税対策を早めに行いやすくなるからです。

例えば、9月には売上がたくさん上がるというのであれば、決算月を7月などにしておいて、9月が期首に近い方にくるようにするといった具合です。1年で最も売上が大きい月が9月なのであれば、事業年度の早い時期に9月の実績値のデータが確定することで、残りの月の売上もある程度予想が立てやすいですよね。

節税対策というのは、基本的には利益が上がりすぎた年に経費を増やして利益を圧縮することを指します。例えば期首から3ヶ月のタイミングでのみ変更することができる役員報酬(社長個人に渡るお金)を調整することで法人の利益を少なくすることが可能です。

7.時間の余裕がある時期にする

法人の決算作業は個人の決算作業と比べて難易度も高く、非常に時間を費やします。

個人事業主の時にはそれほど負担が大きくなかった確定申告の作業も、法人税の計算となると経理実務の経験のない方が自力で行うのはなかなか難しいと言うのが実際のところです(顧問税理士に依頼する場合がほとんどです)。

海外出張がある場合や、小売業者の方や商品のロット数が多い事業者の場合で棚卸(たなおろし)作業が発生する場合は決算月と重ならないようにしておくのが良いでしょう。

それ以外の場合でも、決算作業は必要書類の準備など、ある程度業務の負担が増えます。事業そのものが忙しい時期に決算作業をする時期が重なってしまうと、業務量がとても多くなってしまいますから、可能であれば決算月は業務の繁忙期とずらしておくのが適切と言えます。

8.会社の財産が多い月にする

金融機関からの融資を利用して事業を行うことを考えている事業者の方は、自社の決算書が金融機関から見てどのように見えるか、ということも意識することがあります。

例えば、「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」という決算書は決算日時点で会社にどれだけの財産があるかを表すものです。金融機関が融資の判断をするときに最も重要視するのがこの貸借対照表と言われています。

貸借対照表は1年に1回しか作成できませんから、決算日時点での数字はできれば見栄えの良い状態にしておきたいものです。会社の資産が1年でもっとも多くなる傾向がある月に決算日がくるようにしておけば、会社にとってベストのタイミングで貸借対照表を作成できることになります。

貸借対照表などの決算書は新規の取引先などからも提出を求められることが多いですから、少しでも内容の良いものを作成するために決算月を調整するのがおすすめです。

9.「月の1日」を設立日にするのは避ける

設立日は月の1日(例えば4月1日)を避けるのが一般的です。

なぜかというと、1日にしてしまうと、法人地方税の均等割が最初の月から課税されてしまうためです。

法人地方税の均等割というのは、会社が黒字であっても赤字であっても負担しなくてはならない税金(税額は年間7万円なので、1ヶ月にすると7万円÷12ヶ月=5833円)で、納税義務は「毎月1日にその地域に事業所があるかどうか?で判断されます」

ですから、例えば3月決算の会社を設立するとして、4月1日を設立日にすると4月~翌年3月までの12ヶ月分の法人住民税の均等割を負担しなくてはなりませんが、4月2日を設立日にしておくと4月分の税金は発生しないので5月~翌年3月の11ヶ月分だけを負担すれば良いことになり、1ヶ月分(5833円)だけ得をするというわけです。

10.決算月は比較的簡単に変更できる

設立時に決めた決算月は、後から変更することも可能です。

決算月は登記事項には含まれませんから、決算月の変更は株主総会決議で定款を変更し、税務署に届出を出せば、変更することができます。法務局に支払う登録免許税もかかりません。コストをかけることなく変更手続きを行うことができます。

まとめ

いかがだったでしょうか?

決算月(事業年度)1つとっても、これだけ考えるべきポイントがあります。

会社の設立を行ってから決算月(事業年度)を変更した方が良いかも…となった場合には税理士に相談してみると良いでしょう。