本店所在地の決め方!登記の際のポイントまで解説!

会社の本店所在地は社長の自宅とする以外にも貸事務所、レンタルオフィスやバーチャルオフィスを借りるなど、色々と選択肢があります。

どのように決めたら良いでしょうか?どのように登記したら良いかも含めて解説します!

 

1.貸事務所を借りる場合

オフィスビルやマンションの一室を借り、会社の本店とする場合、賃貸借契約後に会社設立の手続を行うことになります。

事業に適当な事務所を見つけたら,契約前に貸主に事務所使用の可否を確認し、会社設立の意向を伝えて承諾をもらいます。

会社名義の口座は会社設立後にしか開設できないため、それまでは個人名義で賃貸契約を結び支払いを行います。会社設立後、会社の口座を開設し、賃貸借契約を会社名義に変更します。

 

2.レンタルオフィスを借りる場合

貸事務所に比べて保証金が安く、デスクや椅子などの備品が常設されており、会社設立時の初期投資を抑えることができます。

また、電話や受付、郵便サービスの提供により、余計な人件費がかからないですむ場合が多いです。好立地に事務所を構えることができるので,企業のイメージアップも期待できます。

一方で、オプションのサービスが課金制であることが多く、サービス内容や場所によっては、賃事務所よりも割高になる可能性があります。

 

3.バーチャルオフィスを借りる場合

バーチャルオフィスとは、実際に事業所として入居することなく、住所や電話番号などだけを建物所有者から貸し出してくれるサービスのことをいいます。

レンタル料が通常の賃貸と比べて格安(月数千円ほど)なため、創業当初のコストを抑えたい事業者から人気が高まっています。

レンタルオフィスと同様に、会社設立に最低限必要な住所や電話番号、FAX番号などを借りられ、保証金や敷金もかからないため、費用を抑えて会社設立ができます。好立地に事務所を構えることができるので、企業のイメージアップも期待できます。

しかし、実態が乏しいとして、銀行口座の開設や創業融資の申請,社会保険や雇用保険の申請などの際に、不利になる場合があります。また、許認可を取得できないことがあるため、事前に確認する必要があります。

 

4.自宅を本店所在地とする場合

会社設立と同時に事務所を用意できることや家賃や水道光熱費などの経費を抑えられるため、自宅を本店所在地にする場合も多いです。賃貸の場合は貸主に本店所在地として良いかを事前に確認する必要があります。

自宅の水道光熱費のうち、事業用として計算した部分を会社の経費にできます。また、賃貸住宅に住んでいる場合には、支払った家賃の一部を会社の経費にできます。(持ち家の住宅ローンの支払いは原則経費として処理はできません。)

例えば、自宅の3分の1の面積を占める部屋を事業用として使っているという場合には、家賃全体の3分の1を会社の経費とすることができます。

デメリットとして、取引先や金融機関からの信頼感がやや劣るということが挙げられます。

社長の自宅住所と会社の本店所在地が同一になっているような場合、良くも悪くも「オーナー企業である」という風に判断されることがあります。新規の取引先や金融機関としては、プライベートと会社とがしっかりと分かれている方が好まれます。

また、郵便物やダイレクトメールが増えたり、不特定の人の出入りで近隣住民から苦情が出たりする可能性があります。

 

5.まずは自宅を本店所在地とするのも手

後々貸事務所を借りるにしても、設立時には自宅を本店所在地とすることにはメリットがあります。会社の事務所にするためにアパートやマンションを借りるのは、それほど簡単なことではありません。

会社の設立手続きを進めている段階では、まだ会社はこの世に存在していないため、貸手の立場から見るとお金を払ってくれるのかどうか不安です。すでに会社の設立が済んでいる状態で事務所を探すのと、これから作る会社の本店所在地にするための事務所を探すのでは難易度に差があります。

そのため、将来的にはどこか別の事務所を借りることを考えている人も、とりあえずは自宅を本店所在地として設立登記をしておくのも一つの選択肢ということが言えます。

 

6.銀行通帳が作りやすい場所

近年、犯罪防止のために法人名義の口座は作りにくくなっています。法人設立後、法人名義の銀行口座を作る際、通帳を作れない場合があり、本店所在地が影響する場合もあります。本店所在地を実際の会社所在地とは別に自宅で登記した場合や、自宅の地域に会社がない場合などです。

6-1.代表者の個人口座がある銀行

法人代表者の個人口座として取引実績のある銀行は、法人名義での銀行口座も作りやすくなる傾向があります。

6-2.本店所在地の最寄りの支店

会社の本店所在地から一番近い支店でない支店を選んだ場合、支店の変更を支持されるか、あるいは口座開設そのものを断られてしまう可能性が高いです。

6-3.本店所在地には固定電話があると印象が良い

本店所在地の住所に固定電話を引いておくと事業所としての実態がきちんとある会社として判断されやすくなります。

6-4.地銀やネット銀行は口座を作りやすい印象

大手の都市銀行では口座開設を断られてしまったという人も、地方銀行やネット銀行では口座開設できたという人は少なくないようです。

 

7.許認可や免許の要件に注意する

許認可の申請や手続が必要な事業を始める場合、その要件に本店所在地が含まれているかを確認する必要があります。

許認可や手続によっては,本店所在地とする事務所の条件が細かく定められているものがあり、条件を満たさない場合には、本店所在地の変更が必要となるからです。本店所在地の変更は定款も変更する必要があり、費用がかかります。

開業に免許を必要とする事業の場合も注意が必要です。たとえば、宅地建物取引業の場合、一般的な一戸建て住宅やマンションの一室を事務所として使うことは原則として認められません。

 

8.登記の際のポイント:部屋番号まで記載するか?

本店所在地の登記表記は、部屋番号を含めて表示することも、含めないで表示させることもできます。

設立登記時の本店所在地の記載は、「1丁目1番1号」といったように、丁目番地までは必ず記載しなくてはなりません。しかし、マンションやビルの名前や、部屋番号までは記載する義務はないことになっていますから、部屋番号まで登記しておくかどうかについては会社設立を行う人が自由に決めることができます。

設立登記には会社の本店所在地だけではなく、代表者の住所も記載しなくてはなりませんが、代表者住所に関しても同じです。

法人の本店所在地はマンション名や部屋番号を記載するけれど、代表者住所は省く、という形を選択することもできます。

8-1.郵便物が届くか?

何度も取引をしている取引先は部屋番号も把握しているため問題はないと思いますが、新規の取引先や公的機関、あるいは金融機関などは登記簿の情報をもとに郵便物を送ることがあります。

設立前後に会社に対して届く書類には重要なもの(税金関係の書類など)が少なくありませんから、配送間違いが生じないようにするためには部屋番号まで登記をしておくのが確実と言えます。

8-2.プライバシーは?

登記事項には会社代表者の自宅住所も含まれますから、部屋番号まで記載した場合には誰であっても登記簿謄本を取得することを通して代表者がどこに住んでいるのかまで特定できてしまいます。

インターネット上に会社の情報を多く載せるような事業を行う場合は注意が必要です。

8-3.同じ建物内での移転時にコストを節約になる

同じ建物内で本店所在地を移転する場合、部屋番号の記載を省いておくと手間とコストを省けます。

本店所在地や代表者住所は登記事項ですから、変更が生じる場合には法務局に登録免許税を支払って、移転登記しなくてはならなりません。

基本的には取引の安全性確保のため、部屋番号まで記載しておくのが望ましいですが、早期に事業所を移転することを予定している場合(とりあえず代表者の自宅を本店所在地とし、事業が落ち着いたら移転しようと考えている場合など)や、プライバシーを確保したい場合には部屋番号を省いておくのも良いでしょう。

登記は番地まで必要ですが、定款の本店所在地は最小行政区画までを記載する必要があります。同様のメリットデメリットを鑑みて、どこまで記載するか考える必要があります。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は本店所在地を決める際のポイントについて解説しました。

本店所在地だけではなく、定款の内容をどのように決めるかについては経験豊富な専門家に相談してアドバイスを受けながら進めると良いでしょう。